レビューは、あくまで個人的な感想に過ぎません。初めに必ずこちらをご覧ください。
いろんなアングルの写真
ブラスメッキというよりは、真鍮の地膚がそのまま出た金色っていうカンジですね。
Walton's
Standard Soprano D
メーカーのロゴは、紙に文字をプリントしたシールなんじゃないかしら?
個人的には好きじゃないんですけど、多角形をしたジョイント部分は個性的です。
アイルランドのメーカーだけあって、見事なエメラルド・グリーンです。
ウインドウェイ内部は、寸法がキッチリしてるほうが望ましいんですけど、ちょっと雑な寸法です。
トーンホールの周りのクリアーラッカーが、すぐに剥がれちゃうんですよ。変色してくるのは仕方がありませんけど、剥がれてくるのはちょっとイヤ。
真鍮は錆に強いはずなんですけど、見事に管体の内側が錆びてます。錆びないように改善してほしいなぁ。
特徴
世界的に人気のあるウォルトンですけど、需要が多すぎて、どんどん品質が低下しているようです。注文に追われて、劣化しまくった金型を作り直す時間も無いらしいです。この体制を改めないと、ウォルトンのティンホイッスルには未来は無いでしょう。ウォルトンには、品質向上を目指して今後ぜひともがんばってほしいものです。好きなメーカーなだけに残念なので。
音色は標準的な音色です。標準の定義はすっごく曖昧ですけど、現代のポピュラーなタイプである、プラスティックのマウスピースと真鍮の管体のタイプを代表するような音色、とでもいいましょうか。
息使いの基本が出来ていれば演奏自体はとても楽なんですけど、マウスピースの品質が悪い(寸法が狂っている)ので、息を無駄に消費してしまいます。特にハイエンドでは必要以上に強く息を吹き込むという、悪い癖がつきやすいです。品質が悪い状態では、メインのティンホイッスルとしては使わないほうが無難でしょう。演奏性を少しでも良くしようと思って、改良作業をしました。このページの下のほうに載せている「演奏性アップの改良作業」をご覧ください。
マウスピースをお湯で温めて外して、チューニングできます。ただし、時間をかけてがんばってチューニングしても、トーンホールごとのピッチの狂いは治らないんですよ。ピッチバランスが悪すぎて使いものにならないんです。このことから、マウスピースだけでなく、管体の作りにも問題が多そうだと考えられます。要するに、ウォルトンのスタンダードは笛としての最低限の性能さえ確保できていない、ということで。
かなり意地悪でキツい表現ですけど、事実だから仕方がありません。相手はメーカーなんですから、消費者が製品を評価するのは当たり前の権利です。あるティンホイッスルの悪い部分を隠して、いいところばっかりを書き連ねる、いい子ぶりっこのコメントなんて、つまんないじゃないですか。どうせだから、いいところも悪いところも全部書いたほうが参考になるでしょうから。
メーカーについて
同じウォルトンのティンホイッスルでも、「ギネス」というアルミニウム管体の機種の製造だけは頑張っているようです。メーカー側としても、極薄なアルミニウム管体というのを斬新なアイディアとして、製造にチカラを入れているんでしょうね。極薄な管体の音色の魅力もさることながら、ものすごく軽くて、長い間使っていてもトーンホールの周辺が変色しないので、そういう点でもかなりのファンを得ていますし。品質がこれ以上落ちるのは避けてほしいです。ギネスはせっかく個性的な作りの機種なのに、品質が落ちちゃったら勿体無いので。
ウォルトンのスタンダードやメロウについてですけど、こちらは、需要に追われて金型を劣化させて品質を落としているという、悪循環を繰り返しています。好きなティンホイッスルなだけに残念。好きなティンホイッスルだからこそ、手厳しく問題点を考えて、あえて酷評することにしようと思います。
D管を注文したのにC管が届く、という風に、注文したキーとは違うキーが届くことも多く、その状態が何年も続いています。信じられないかもしれませんけど、これ事実なんです。まったく、どういう商品管理をしてるんだか、ワケ解りません。
(以前、Eb管と書いていましたけど、正しくはC管です。これだけは勘違いでした。素直に謝ります、ごめんなさい。まぁ、D管を注文したのにC管が届く、ということでも、メーカーとして大問題ですけど)
それに、スタンダードDを注文したのに、送られてきたのはメロウDで、なんと、ラベルをスタンダードDのラベルに貼りかえてるという、とんでもなくふざけたことをやっていたりします。つまり、
「スタンダードDの在庫が無いから、メロウDのラベルをスタンダードDのラベルに貼りかえて、スタンダードDに見せかけて出荷してしまえ」
という魂胆がみえみえ。解る人が見ればすぐに「これはメロウDだ」と解るのに、バレないとでも思ってるんでしょうか。ユーザーをナメてるとしか言えません。
こんな調子なので、過去の業績による人気があっても、それにどっかりとアグラをかいてユーザーをナメていると、その内にメーカーの経営姿勢と品質管理に疑問を抱くユーザーが増えて、いつかは「ダメでどうしようもないメーカー」の烙印を押されることは間違い無いでしょう。
根本的に考え方を改めてもらわないと。ウォルトンさん、あなたんとこのスタンダードとメロウ好きなのに、このままじゃヤバいわよ! しっかりしなさい!
ウォルトンのサイトはこちら。
演奏性アップの改良作業
ウォルトンのスタンダードは、しばらく演奏していると高音部の音色が非常に汚くなってきて、聴くに耐えない音色になっちゃいます。
この原因は、ウインドウェイ内部に溜まった水分が無駄に踊ってて、管体へと逃げてくれないからです。
逃げてくれないのは、ウインドウェイ横側の段差のせいです。この段差を水分が超えられないからです。
エッジの形にも問題があり、息が当たる先端部分が垂直に成型されているため、息の流れが乱れやすいようです。
ウインドウェイの水分により息の流れが乱れ、更にエッジでも乱れるという、悪循環ですね。
そのために、結果的に高音部が汚い音になってしまうようです。さて、改良してみるとしますか。
DIYセンターなどで売ってる、金属製の平たいヤスリを用意します。
黒い取っ手のがダイヤモンド混合金属のヤスリ、緑の取っ手のが鉄ヤスリです。
ヤスリは、側面(面積が狭い面)にもギザギザが付いてるものを買ってきてください。
横側のギザギザがないと作業はできません。お店でヤスリを選ぶ時はご注意を。
ヤスリをウインドウェイに差し込み、ウインドウェイ横側の段差を削る作業を始めます。
ヤスリ側面のギザギザ部分を使い、入り口から出口までのラインができるだけ真っ直ぐになるように削ります。
反対側も同じ要領で削ります。
くれぐれも焦らないことですね。削りすぎは取り返しがつきませんから。
ここで、スタンダードとギネスの、エッジの位置を確認してみましょう。スタンダードはギネスと比べて、エッジの位置が高いです。
ちょっと解りにくい写真かしら?
スタンダードはエッジの位置が高いために、高音部が出にくいんですよね。
どうしてもエッジの高さが気になったら、プラ板で自作するのも手ですけど、慣れてない人にはお奨めできないです。
さて改良作業に戻りましょう。今度はヤスリの平面部分を使います。垂直状態になってるエッジの先端を、斜めに鋭く削る作業です。少しでも息の当たる部分を下げる目的です。
エッジの先端の、垂直になってる出っ張りを削って、斜めに角度をつけます。
なぜ出っ張りだけかというと、ウインドウェイからの距離を狂わせないためです。
できればマウスピースを外して、内側から弱いチカラで軽く磨くカンジで、削りカスを取っておきましょう。
それから、細く切ったガーゼと、細い木の棒を用意します。これで管体内部の掃除もしてみるとしますか。
木の棒を使うのは、万一の時に管体内部を傷つけないようにするためです。
ガーゼをグルグル巻きにして木の棒を隠す状態にします。
これを管体に差し込み、ガーゼの巻き方向に従って回転させながら奥まで差し込んで掃除します。回転させるのがコツです。
これで改良作業は完了です。作業後吹いてみたら、高音部がいつでも綺麗に出るようになりました。
現在ではウォルトンは品質がかなり改善されたようで、メロウD2015年モデルのページでフォローしています。