レビューは、あくまで個人的な感想に過ぎません。初めに必ずこちらをご覧ください。
いろんなアングルの写真
クラークのスイートーンは、テーパード・ボアでプラスティックのマウスピースっていうところだけを見ると、リコーダーに似ている気がします。
Clarke
Sweetone Soprano D
数種類のカラーリングがあるので、コレクションには最適ですね。コレクションだけをしていないで、ちゃんと吹いてあげないと、楽器として全く意味が無いと思いますけど。
また、スイートーンには、上の4色に加えて、無塗装のモデルもあるようです。ここのページを見てください。
http://www.thewhistleshop.com/catalog/
whistles/inexpensive/Clarke/Sweetone/sweetone.htm
縦に5本並んでるうちの真ん中が、無塗装のモデルのようです(情報提供してくださったヘルガさん、ありがとうございました)。
ブリキ仕上げにしては、管体の裏側の接合部はとても綺麗です。
テーパード・ボアなのに、マウスピースのくわえる部分は小さいので、くわえるのに楽です。
トーンホールはとても小さくて押さえやすいです。
ベルから見える、管体の接合部の内側です。音色アップのために曲げられている…のかしら?
特徴
クラークのオリジナルを進化させたのが、クラークのスイートーンです。音色はその名の通り甘いカンジで、特に高音部で甘い音色が際立ちます。これは私の完全な主観ですけど、アイリッシュのホーンパイプスにぴったりな音色だと思います。
スイートーンはマウスピースがガッチリ固定されて外せず、チューニングはできないようです。しかしクラークのメーカーは、東京のEMP(アーリー・ミュージック・プロジェクト)さんに対しては、特別に、マウスピースを動かせる仕様にして出荷しているようです。私は、スイートーンをEMPさんで買ったので、お湯で温めなくても、最初からマウスピースが外れるんですよ。
マウスピースが、最初から簡単に外れる
差し込み部分だけは当然円筒状
つまりスイートーンは、EMPさんで買えば最初からマウスピースが外れてチューニングできる。他で買えば最初からのチューニングはできない。こういうことですね。
また、「ギタルラ社 東京古典楽器センター」で販売しているスイートーンについてですけど、「ギタルラ社 東京古典楽器センター」では、スイートーンをEMPさん経由で仕入れているらしいので、やはりマウスピースが最初から外れるとのことです。メールで連絡していただいた方(ご本人により匿名希望です)、誠にありがとうございました。
「最初から」と書いているとおり、ここで言っているのは工場出荷時の状態のことです。念のため。
スイートーンは、少ない息量で吹けて、トーンホールを押さえやすく、各オクターブでのピッチも常に安定しています、驚くほど演奏が楽です。高音部でも息は全くキツくなく、こんなに楽しちゃっていいのかしら? って思うくらいです。マイケル・コープランドという優れたメーカーがデザインしたマウスピースなので、外見よりも、素晴らしいのはまず演奏性ですね。
「マイケル・コープランドによるデザイン」ということについては、とある人(ご本人により匿名希望です)から教えていただきました。情報を提供していただいた方、誠にありがとうございました。
マウスピースだけでなく、管体がテーパード・ボアなことによる助けも大きいんです。テーパード・ボアはベルが細くて息の抜け道が強引に狭く作られているんですよ。このテーパード・ボアの管体がベンチュリー効果を生んで管体内部の息のスピードが速くなり、結果的にプレイヤーは弱い息を吹き込むだけで充分で、あとは管体が空気のスピードを加速して助けてくれる、こういう効果があるんですよ。だから息が楽なんだと思います。
ブリキは水分に弱く、とても錆びやすい性質の金属なんですけど、スイートーンのブリキ管体内部には錆止め処理がされてるようです。
塗装の下に錆止め処理
4本とも同じく錆止め処理
この錆止め処理は頼もしいです。
マウスピースはプラスティックで水分に強いのはいいんですけど、スイートーンのマウスピースはエッジがかなり薄く作られているために、熱に弱いです。ちょっとした熱で簡単にエッジが変形しちゃうので、管理には注意が必要です。エッジが薄いので、真夏の炎天下などに放置すると、運が悪ければ熱でエッジが変形しちゃいます。そうすると買い直すか修理するしかありませんね。
こんな風にしてエッジを修理
エッジ修理の詳しい方法は、「困った時の対処法(エッジ)」で紹介しているので、宜しければどうぞ。エッジへの熱にさえ気を付けていれば、あとは大抵の気候条件で吹いても大丈夫です。ピッチへの影響もあまり出なくて、ウインドウェイに水分が溜まって残ることもないですね。特にウインドウェイの水分の除去効果は、水分を除去するためのマウスピース内部の作りや性能が優れているからでしょう。
スイートーンのピッチは、工場出荷状態では僅かに高めです。A=441から442Hzくらい。
これはマウスピースを3/4くらい奥まで差し込んだ状態で計りました。その状態が一番ピッチバランスがよかったので。
メリット。EMP(アーリー・ミュージック・プロジェクト)さんで買ったモデルに限って言えば、最初からマウスピースが外れるのでチューニングができる。これは大きなメリットです。
EMPさんのは、最初からマウスピースが外れる
息が楽で高音部でも苦しくない。トーンホールを押さえやすい。各オクターブでのピッチもあまり離れていないので、2オクターブ目を強く吹く必要が無く、音量がうるさくならない。気温によるピッチ変化もあまり無い。とにかく演奏が楽。笛そのものは完成し尽くされた設計ですね。
デメリット。スイートーンだけをずっと吹いてると、あまりにも楽な息使いに慣れてしまって、他のティンホイッスルを吹いた時に息が苦しく感じる。スイートーンは楽すぎるゆえに、息使いの基本練習には不向きということで。
買う時の注意点は管体のカラーリングでしょうか。メタルグリーンのモデルが一時期生産中止されていましたけど、またラインナップに出てきたことなどを考えると、買う時には、その時点でどんなカラーリングが入手できるのかを確認しておけばいいかもしれません。もしかしたら、好きなカラーリングのモデルが生産中止とか、逆に復活してるかもしれませんし。それから、EMP(アーリー・ミュージック・プロジェクト)さんでマウスピースが動くタイプを買えるのは、先にも書いた通りなんですけど、他で買う時にも一応確認しておけばいいんじゃないかな、と。もしかしたらクラークが気が変わって、マウスピースの動くタイプを復活させる時が来るかもしれませんから。
メーカーについて
クラークは、ティンホイッスルを発明したメーカーといってもいいでしょうね。1843年頃に、最初にティンホイッスルを作ったようです。実際にはメーカーというより、個人が発明してそれがメーカーに発展したんですが…って、結局同じことか。
更に地方を絞り込んでいくと、クラーク(Clarke)はイングランド地方のメーカーのようです。ですので、ティンホイッスルの発祥の地は「イギリスのイングランド地方」という可能性がかなり高いと思います。
クラーク スイートーンのマウスピースについては、マイケル・コープランドにデザインを頼んだようで。自社でデザインする能力はないのか、それとも、あくまでも元祖の部分をデザインすることだけにこだわってるのか、どうなんでしょうね。
それにしても、東京のEMP(アーリー・ミュージック・プロジェクト)さんのためだけに特別に、スイートーンのマウスピースを外せる状態で出荷してるのは、クラークも良心的だな〜と思います。いろんな意味でスゴイです。
クラークのサイトはこちら。
http://www.clarketinwhistle.com/
オープニングのFLASHがかなり重くて、おまけにスキップできないようですが、内容は面白いです。