◇解説 ディクソン ブラス・スライド・チューナブル(2006年モデル)◇


レビューは、あくまで個人的な感想に過ぎません。初めに必ずこちらをご覧ください。

いろんなアングルの写真

 


Dixon brass slide tunable Soprano D

管体の色は、写真からは解りませんけど、ヘッドがやや黒がかったグレー、下の管体が黒です。

このベルの金色のシールは、元々は貼られていませんでした。ディクソン1ピースから剥がしてこっちに貼ったんですよ。よりハデにして高級感を出すためです。私は本来ハデなティンホイッスルは好きじゃないんですけど、遊び心とシャレでわざとハデにしたという次第です。

さて、肝心のジョイント部分。全部差し込んだ状態だとこうなります。

これが、ちょっとだけ引き抜いた状態です。

ジョイントをスポンと外したところです。こんなに長いんですねー。でも実用的なチューニングの範囲は意外と狭いです。

この機種にはこういうゴージャスなカバーが標準で付いてきます。

でも私はこのカバーを1ピース用に使っています。1ピースのほうが断然お気に入りですから。


特徴

音色は、わずかにハスキーです。ヘッドをABSに、管体をPVCにしたことで、今までのモデルのハスキーな音がやや抑えられて、わずかにクリアーな音色になっています。これは作りが同じの1ピースタイプも同様です。

息の消費量はやや多めですけど、高音を出しにくいことは全くありません。肺活量の少ない人や息の瞬発力の無い人でもすぐに2オクターブ目の後半まで出せるでしょう。

トーンホールはとても小さく、またトーンホールごとの距離も近いので、手の小さい人でもラクに押さえられます。

当然ジョイントはブラス(真鍮)で出来ているんですけど、ジョイントの肉厚が薄いにもかかわらず、かなり丈夫です。ちょっとやそっとのチカラをかけたくらいじゃビクともしません。かなり強度を上げている真鍮なんでしょう。

気温の変化にはほとんど影響を受けず、ピッチなどの特性も変わりません。なので、どんな場所にでも気軽に持って行って吹けるティンホイッスルです。オマケにチューナブルですからいろんな演奏現場で役に立つこと間違いなしです。

工場出荷状態でのピッチは…チューナブルなのでよく解りません。ただ、A=440Hzに合わせて吹くと、ハイエンドの音程がかなり下がってしまいます。ですから、やや高めのピッチ(A=443〜A=444)くらいで吹くのが、ピッチバランスを保てて無難でしょうね。

メリット。とにかく吹きやすいこと。特に息圧が強めの人には尚更ラクで吹きやすいこと。本来のティンホイッスルらしいカスレた音色を残しているので味わいがある。手の小さい人でもトーンホールを押さえやすい。ジョイントがかなり丈夫なので、少々乱暴に扱ってもまず壊れない。気温の変化に影響を受けない。チューナブルだからいろんな楽器と合わせるのにとっても便利。

デメリット。昔のチューナブル・モデルに比べたら音色がややクリアーになってしまっているので、昔からのファンは「個性が薄れた」と思うかもしれない(これは個人個人の価値観や好みの問題ですので一概には言えませんけどね)。ピッチバランスの狂いを考えると、A=440Hzに合わせて吹くような機種ではない。もうちょっと高めの基準ピッチにチューニングして吹く必要がある。当然、他の楽器もそのピッチに合わせなければならない。

このブラス・スライド・チューナブルはジョイント部分が曲がっています。これは向かって左側にわずかに曲がっていますね。


ジョイントの部分から左に曲がっている

そこで、何が原因かを確かめるために、ヘッドに固定されているジョイントスリーブを無理矢理こじって、ええもう壊す覚悟で外してみたところ、

壊れませんでしたけど、ヘッド内部のジョイントスリーブが差し込まれる部分の整形が狂っていました。ジョイントスリーブ自体は曲がっていなかったので、ヘッドの内部の整形の狂いが原因だったんですね。

写真ではジョイントスリーブは綺麗ですけど、外した時はボンドがガチガチにこびりついていた状態でした。それをカッターやサンドペーパーなどで落としたわけです。

買う時の注意点。ジョイントが曲がっている(ヘッド内部の整形が狂っている)機種が多いのではないかと思うので、それだけは買ってみなければ解りませんね。あるいはメーカーに直にメールして、「ジョイントの曲がっていないものを届けてちょうだい」と言うのも一つのテですね。曲がっていないものがメーカーの在庫にあればの話ですけど。


メーカーについて

ディクソンのメーカーは、常に設計変更を行っていて、改良を図っているようです。管体そのものの寸法や、チューナブル(2ピース)タイプのジョイント部分の精度や、ウインドウェイの形状の変更など、いろいろ試しながら作っているようです。

特に最近出てきたブラス・スライド・チューナブルなどのユニークな機種は、ティンホイッスル吹きの注目を集めているようですね。新しい設計や開発にもどんどん取り組んでいるメーカーということで。こういうメーカーだから品質や性能が安定していて、人気もあるんでしょう。

ディクソンのサイトはこちら。

http://www.tonydixonmusic.co.uk/


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