◇解説 クラーク オリジナル◇


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クラークのオリジナルは、まず目を引くのが管体の綺麗な塗装ですね。


Clarke Original Soprano D

メーカーのロゴは塗装です。刻印のほうが好きだったりするんですけど…。

形からして、くわえにくいです。ちなみに、くわえやすいように木のブロックと管体を丸く削ったクラーク オリジナルもラインナップにあります。

エッジの形は中心がへこんでて、独特です。このへこみがなければ、音は出ないようです。

トーンホールの間に描かれた、金色のダイヤ形のマークが美しいですけど、見方を変えれば、性能の低さを外見で必死に補ってるような気も…。

ベルの外側にも、金色の二本のラインが描かれています、高級感が出ていると思います。


特徴

クラークのオリジナルは、ブリキの管体に木のブロックをはめ込んだもので、息を無駄に消費する音が逆に作用して、やや温かい音色になっています。

ニッケルシルバー管体のショウと比べると、クラークのブリキ管体は高音部ではちょっとキンキン響いて耳に付くんですけど、ジェネレーションとかのブラス管体よりはずっと温かい音色ですね。

音量は控えめでおとなしいですが、やはり高音部、特にハイエンド付近ではちょっと耳に付くかなぁ。

ブリキの管体に木のブロックを差し込んだだけの作りなので、チューニングはできません。

ウインドウェイとエッジの寸法や距離が粗雑なために息量がたくさん必要で、吹き込んだ息がかなり無駄になって消費されてるんじゃないかと思います。その無駄な息が独特な温かい音色に繋がるから、皮肉なもんですね。

このクラークのオリジナルを吹いてみた人の中には、「この笛は実用的ではない・演奏には全く使えない」という人がいらっしゃるようです。しかし、ブレスを頻繁に使えば、何の問題も無く吹けてしまうんですよね。クラークのオリジナルを吹きこなすには、ブレスを断続的に入れることがコツでしょう。このティンホイッスルはたくさんの息を消費するために、一度のブレスで音を出せる時間は短いですから、断続的なブレスをマスターする必要があるんですよ。頻繁に入れるブレスの練習をしっかりしていれば、吹きやすいはずです。それでも、「どうしても息がキツイよー」という人のために、下のほうに載せている「演奏性アップの改良作業」で、ウインドウェイを絞る作業を紹介しているので、宜しければどうぞ。

クラークのオリジナルは、ブリキを巻いた管体に木のブロックをはめ込んだものですけど、このタイプが、ティンホイッスルの元祖のタイプです。ブリキと木の組み合わせなので、もろに水分に弱いんですよね。水分のせいで木のブロックが腐ってきて、形が崩れてきて、いつかはポロッと落っこちちゃうようで、これは困ったもんです。「木のブロックを塗装して腐食を防ぐ」というのは昔から知られている方法ですけど、これは単なる一時しのぎにしかなりません。どんなにうまく塗装しても所詮は「組み立て後の後塗り」に過ぎませんから、僅かな隙間ができるんです。特にウインドウェイ内部はそれが顕著で、塗装の隙間から水分がジワジワとブロックに染み込んできてダメになるので、その時はまた新品を買うようですね。まぁ、いちばん最初に作られたティンホイッスルですから、作りが粗雑で腐食防止の処理に無理があるのも仕方がないことでしょう。消耗品扱いにするのは嫌なんですけど、こういうタイプに限っては、ある程度の年数使ったら買い換えるというサイクルを繰り返すしかないと思います。

ブリキと木は温度変化にあまり影響されない材質なので、かなり過酷な条件でも普通に吹けます。管体の接合部が壊れることもないですし。夏場でも冬場でも、特にこれといって特性が変わることはなく、気候条件を気にしないで使えるんですよ。「ティンホイッスル本体が大丈夫なら、じゃぁ演奏性は?」と思うんですけど、これもまた影響を受けないですね。気温によるピッチ変化はほとんど無いし、ウインドウェイに水分が溜まることも無いです。真夏の炎天下や車の中に放置した後に吹いても平気で、ピッチや演奏性には支障は出ないように思えます。原始的な材質ゆえの強み…とでも言いましょうか。

クラークのオリジナルの工場出荷状態でのピッチは、A=440Hz付近で、ほぼ標準といっていいでしょう。ピッチも大昔からずっと変わらないっていうカンジです。


1843年から生き残ってる証のロゴ

もっとも、これでかなり高めのピッチだったりしたら、チューニングできないので大変ですけどね。私は、ティンホイッスルの歴史なんてあんまり興味無いですけど、A=440Hzの歴史だけはクラークに続けていってほしいと思っています。

本場イギリスはもちろんのこと、その他の国でもこのオリジナルは今でもかなりの人気です。でも日本ではティンホイッスルそのものに対する認識不足のために、このオリジナルのピッチが「かなり低い」と誤解されることが多いようです。結局、息をあまり消費しない管楽器に慣れてて、ティンホイッスル本来の吹き方を知らない日本人が、息を充分に吹き込めなくてピッチが上がらないだけの話なんですよ。それで「ピッチが低くて使えない」と言われても困りますよね。ちゃんと吹けばA=440Hz付近で、トーンホールもそれに合わせて空けられてるんですから。ティンホイッスルの元祖はこういう作りでこういう吹き方をするものなんだ、ということを認識していない日本人が、工場出荷状態でのピッチについてよく勘違いするようです。

メリット。まずなんといってもトーンホールが小さくて距離も近いので、指の細い人でも押さえやすい。各オクターブでのピッチがあまり離れていないので、2オクターブ目で息を強く吹き込む必要が無く、音量のバランスが取れる。管体に塗られた金色のダイヤ型マークが綺麗なので高級感に浸れる。最初に作られた元祖のティンホイッスルということで歴史を垣間見れる…かも。

デメリット。低音部では温かい音色でも、高音部ではやや耳に付くキンキンした音に変わってしまう。息の消費量が凄いので、肺活量の無い人には演奏は難しい。木のブロックは塗装しても腐食を避けられず、このタイプに限っては半永久的には使えない。息のキツささえ克服すれば、演奏上のデメリットは殆ど感じないでしょうね。

買う時の注意点は、息がかなりキツいということを念頭において、ある程度覚悟して買うことと、肺活量の無い人が買う場合は、もしかしたら吹きこなせないかもしれない、と思って買うことでしょう。ウインドウェイを改造して絞って狭くする目的だったら、別に覚悟しなくてもいいです。


改造して絞ったウインドウェイ

改造など一切したくない、ノーマルのままで使いたい、という場合、つまり「買うための一般的な基準」ですけど、ロングトーンを使いたいならばご自分の肺活量がどれくらいあるのか、それから、ブレスを頻繁に入れる演奏ができるか、これをよく考えてから、買うかどうするかを判断すればいいでしょう。

本体の仕上げとか塗装の質は、心配しなくても大丈夫そうです。クラークの品質は安定していますので。


メーカーについて

クラークは、ティンホイッスルを発明したメーカーといってもいいでしょうね。1843年頃に、最初にティンホイッスルを作ったようです。実際にはメーカーというより、個人が発明してそれがメーカーに発展したんですが…って、結局同じことか。

更に地方を絞り込んでいくと、クラーク(Clarke)はイングランド地方のメーカーのようです。ですので、ティンホイッスルの発祥の地は「イギリスのイングランド地方」という可能性がかなり高いと思います。

クラーク スウィトーンのマウスピースについては、マイケル・コープランドにデザインを頼んだようで。自社でデザインする能力はないのか、それとも、あくまでも元祖の部分をデザインすることだけにこだわってるのか、どうなんでしょうね。

それにしても、東京のEMP(アーリー・ミュージック・プロジェクト)さんのためだけに特別に、スウィトーンのマウスピースを外せる状態で出荷してるのは、クラークも良心的だな〜と思います。いろんな意味でスゴイです。

クラークのサイトはこちら。

http://www.clarketinwhistle.com/


演奏性アップの改良作業

クラークのオリジナルは、演奏に大量の息が必要で、特に高音部でのロングトーンなどは非常にキツいです。

原因は、ウインドウェイが全体的に広すぎて、出口までの絞りも甘いせいのようです。

息に対する反応も悪いです。せっかく吹き込んだ息がムダになっています。これもウインドウェイ、特に出口が広すぎるからです。では、改良してみましょうか。

このウインドウェイ出口を絞って、通る息のスピードを上げさせます。

ウインドウェイ出口を、親指の爪で強く押して潰し、出口を絞ります。爪は僅かに伸びてる状態のほうがやりやすいでしょう。

「やってると爪が痛くてイヤだー」という人は、ヤスリの取っ手を使って押しつぶすのもいいでしょう。でもこれだとチカラの加減が難しいですよ。慎重にやれば大丈夫でしょうけど。

どちらの場合でも、ウインドウェイの半月型が綺麗に均等に潰れるようにしてください。

で、こんな風になりました。ずいぶん絞ったでしょ。でもあまり絞ると低音部が出にくくなるのでご注意ください。

もし潰しすぎた場合は、ヤスリの先端の薄い部分を使って、ゆっくり起こして微調整します。

これで改良作業は完了です。作業後吹いてみたら、すっごい息への反応がいいことに自分で驚きました。高音部のロングトーンもかなり楽になりました。


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