マウスピースを動かすチューニング
ウォルトンとかジェネレーションみたいな、管体にマウスピースを差し込んでるタイプで、セッションの時にピッチがズレてて困る場合があります。その対処法です。
Generation
Soprano D
Walton's
Standard Soprano D
このタイプはマウスピースを動かしてチューニングできることが多くて、実際に演奏現場でもよく使われています。
まず、マグカップやコーヒーカップなどに40度くらいのお湯を入れます。40度というのは単なる目安で、熱すぎるお湯はダメということです。機種によってはマウスピースが変形しちゃうので。そのお湯にマウスピース部分を2〜3分間ほど浸します。
2〜3分間経ったらカップから取り出して、管体とマウスピースを持って、左右にねじるように回しながらマウスピースを抜きます。
マウスピースが抜けたら、管体に付着していた糊を拭き取っておいたほうがいいでしょうね。
再度マウスピースを差し込んで、マウスピースを動かしながら吹いてピッチを合わせます。
ジェネレーションは、A=445Hzから446Hzくらいを基準にチューニングします。
ウォルトンのスタンダードは、A=442Hzから443Hzくらいを基準にチューニングします。
無理矢理A=440Hzに合わせると、笛の特性がガラリと豹変しちゃいます。そのまま吹き続けていると、雑な息使いしかできなくなっちゃうんですよ。
今まで苦労してマスターした微妙な息使いのテクニックが失われてしまうという、落とし穴です。チューニングは便利で手軽そうに見えますけど、この落とし穴には注意してください。私も一度この落とし穴に落ちて、苦労した経験があるので。
お湯で温めても外れない時
お湯で温める方法でもマウスピースが外れない時、その時はどうやってマウスピースを外すのかを紹介します。
お湯で温めても外れないマウスピースの機種の代表的なものとして、ウォルトンのギネスがあります。
Walton's
Guinness Soprano D
また、ファドーグの一部のモデルにも、お湯で外れないモデルがあるようです。
Feadog
Brass Soprano D
ここでは、ウォルトンのギネスのマウスピース取り外し作業をしますけど、作業の方法は、どれでも同じ要領です。
ライターで管体をあぶって、マウスピースを外す作業です。ライターは100円ライターで充分です。
この作業は、ひとつ間違えばマウスピースを溶かしてダメにしてしまう危険なウラ技なので、作業要領をよく読んでから作業してください。
ライターであぶる作業は、マウスピース自体をあぶったらマウスピースが溶けちゃうので、重要なのは、「あぶる位置を管体のみにする」ことと、「あぶる時間を短時間にして、何回かに分ける」ことです。
管体が熱くなるので、管体を持つほうの手には、何かしらの手袋をはめたほうがいいでしょう。
あぶる位置と管体からの距離は、写真の通りです。
あぶる位置と距離はこれくらいで
これで、あぶりながら管体を回します。管体のラベルがコゲないように、素早く回したほうがいいです。
管体をクルクルっと
ラベルがコゲないように注意
管体を2〜3回ほど回転させてあぶったらひとまずヤメて、管体が完全に冷えたら再度同じあぶり方をする、これを何度か繰り返します。
あぶるのは、これで終わりです。管体とマウスピースを握って、軽く雑巾を絞る要領で、ねじりながら回します。
やれやれ、やっと外れた〜。
ライターであぶる作業を繰り返すのは2〜3回でいいと思いますけど、2〜3回やってもマウスピースが外れない時は、また同じ作業を繰り返してください。
それから、マウスピースの固着を防ぐ方法を紹介します。
ギネスのマウスピースは、一度は外れても、差し込んでしばらく使ってると、また差し込み部分が固着してくるので、固着を防止するために管体の差し込み部分をサンドペーパーでジョリジョリ削って、黒い塗装を綺麗に剥がしておきます。
注:ファドーグでは、この作業をする必要はありません。
このくらいの範囲を削る
これでまた差し込む
うっかり削りすぎて差し込み部分がユルユル気味になったら、ジョイントグリスを買ってきて、差し込み部分に厚めに塗ればいいですよ。ユルすぎず固すぎずの丁度いい抵抗になります。