◇ハミードさん提供情報:中華ホイッスルを作る◇


はじめに

この「中華ホイッスルを作る」のページの説明や写真は、私によるものではありません。ハミードさんから情報を提供していただいたものです。ハミードさんが、ウォルトンのメロウを使っての改造作業のレポートを、写真と一緒に送ってくださったのでした。また、ストラムドンブラの画像と音源も送ってくださいました。

ハミードさんは、ご自分でサイトも持っていらっしゃいます。女の子のイラストが、とってもかわいいです。ぜひ行ってみてください。こちらです。

チャイハネ ハミード(ハミードの茶店)

それでは、以下、ハミードさんによるレポートです。


改造作業レポート (by ハミードさん)

「ティンホイッスルに中国の笛「笛子」みたいに膜孔をつける!」という改造をしてみたので、ご報告したいと思います。

中国の横笛は歌口と指孔との間に竹紙(竹の内側の薄い膜)を貼り付けた膜孔(「清孔」とも言う)があって、サワリの効いた独特の情感がある音色が出ます。(↑この辺はBSアニメ『十二国記』OPの曲を思い浮かべて頂ければいいのですけど……)

ようはこれをティンホイッスルでやってしまおうというわけです。

失敗しても未練が残らないウォルトンのメロウDを買って、以下のように工作してみました。

女子十二楽坊やBSアニメ『十二国記』にハマった方におすすめの改造です。(ちなみに私がハマったのは後者です(^^;)


1.
今回の改造対象はウォルトンのメロウ。ラベルをはがした位置にドリルで孔を開けます。孔の位置や大きさは、膜孔ならば「マウスピースと指孔の中間あたりで、膜がちゃんと共振してくれる大きさ」という適当さでかまいません。(いかにもアジア的ですね……)


2.
本来は竹や葦の茎の内側の薄い膜を使用しますが、今回はスーパーなどにある小さな薄いビニール袋を引き延ばして、膜にします。


3.
孔の周囲に少し糊をつけて、小さく切った膜を貼り付けます。ピンと張らずに、ちょっとシワを残した状態がいいようです。


4.
膜の周囲をセロテープで固定します。これで中国音楽っぽい音色の出る「中華ホイッスル」の完成です。あとはこれまた適当に膜の張りを指なんかでつついて調整すると、中国の笛みたいなぺーぺーした音が出ます。


追記:
あ、そうそう、中華ホイッスルのその後です。写真を公開していただいたホイッスル、どうも膜の振動が弱かったのです。あの後丸ヤスリで膜孔をやや楕円形に2まわりばかり大きくしました。

改良後、膜音がきちんと出るようになりました。「場所は適当、大きさは適当になるべく大きめ」が膜孔のコツ(?)のようです。

おまけで私が中華ホイッスルで演奏した、東トルキスタンのウイグル人の器楽曲、『豊作』より序曲部分のMP3ファイルをお送りしておきますね!((^^;下手&録音もよくないですけれど)

東トルキスタンは現在「新疆ウイグル自治区」として中国の支配下にあり(独立闘争中)、『豊作』は文革中〜後の頃に作曲された曲のようです。(作曲者は残念ながら不明です)

中華ホイッスルのサンプル音源「豊作」(作曲者:不明) / 演奏:ハミードさん


5.
手持ちの中国の笛子(C管)との比較です。

利点としては、

 1.サビのついた独特の音色が出て枯れたメロディーの演奏にしっくりくる。

 2.これはティンホイッスルの演奏に新境地が開拓できるかも!? ……です。(^^;

しかし欠点としては、

 1.膜をあまりゆるめるとカズーみたいな音になる。

 2.膜の状態がすぐに変わるので調整がちょっと大変。

 3.ただでさえピッチの変なウォルトンのピッチがさらに変になる。

 4.ただでさえ高音の出にくいウォルトンの高音がさらに出にくくなる。

 5.(……面倒なので、以下自主規制) ……です。(^^;;;

なお、中国の笛子については、以下を参考にされてみてはどうかと思います。

http://www.chinamusic.gr.jp/fuekatarogu.htm

↑東京で販売している中国楽器屋さんです。


http://ent2.excite.co.jp/music/interview/
2003/joshi12/profile.html

↑話題の「女子十二楽坊」の演奏映像が見られます。


追記:
そうそう、おまけで『サマルカンド』を私の手持ちのストラムドンブラ(アメリカの変な弦楽器ストラムスティックを、カザフの弦楽器ドンブラの調弦にしたので勝手にこう呼んでます)で演奏してみたので、これもお贈りいたします。

サマルカンドは中央アジア、ウズベキスタンの古都の名前です。(ちなみに今のウズベキスタンの首都はタシュケント。サマルカンドは日本で言うと京都みたいな所でしょうか?)さすがドンブラだけあってウズベクっぽくなく、カザフっぽくなりましたが……。(^^;

ストラムドンブラのサンプル音源「サマルカンド」(作曲:南里 高世) / 演奏:ハミードさん


ストラムドンブラ

正月ごろから気合を入れてストラムドンブラを改造(ポジションマークとゴルベ板追加に、昨日はギターのナット用の牛骨を仕入れて削ってブリッジ製作!……って牛骨はものすご〜く硬くて今日も指が痛い〜!(^^;)して、 ストラムドゥタール(どっちも2弦だし、実は改造した私にも違いがわからない……)を仕上げました。

そんな訳で今日、即興演奏してみたものを録音しましたので、こちらをお使いくださいませ。改造後のストラムドゥタールと、ついでにトルコの弦楽器サズ(この楽器の調弦の一種に「ボズック調弦」というのがあり、これがギリシャの「ブズーキ」になり、つい数十年前にアイリッシュに取り入れられたのがおなじみ「アイリッシュブズーキ」です)の画像もお送りします。

ストラムドゥタールのサンプル音源(即興演奏) / 演奏:ハミードさん


左:サズ / 右:ストラムドゥタール



あとがき

ハミードさんのレポートは、以上です。実はウォルトン メロウのほうは、二本目の改造とのことです。一本目の改造のレポートをいただいた時には、ハミードさんによれば、

「ラベルを残そうとラベル上の位置に孔を開けましたが、ラベルをはがした辺りに開けるのがいいかもしれません」

「スーパーの豆腐なんか入れるような小さな薄いビニール袋を引っ張って伸ばして(新素材!)、 適当な大きさに切って開けた孔にセロテープなんかで適当にとめる。……かなり適当な改造です。(汗)」

とのレポートでしたが、その後、もう一本ウォルトンのメロウを改造用に買って、作業のレポートを今回、写真も添えて送ってくださったのでした。

ハミードさん、非常に興味深いレポートや音源や画像を提供していただき、本当にありがとうございました。


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