◇アルバムの感想 木道◇


故郷の原風景 (作曲:宗次郎)

この曲を聴いてみると、たぶん「どこかで聴いたことがあるな」と思う人も居るのではないでしょうか? 以前NHKなどの番組で使われていた曲です。

私はそれをリアルタイムでは知らないんですけど、この曲を初めて聴いた時に、一発で気に入りました。

ほんとに故郷の原風景が浮かんでくるわぁ。見事な表現力ですね。いえ、その人の故郷が田舎である場合に限るんですけど。

全体的にロングトーンを多用してて、テンポもゆったりしたもので、心が休まる曲です。宗次郎の故郷の原風景って、どんなかしら? 興味あるなぁ。


星ふる夜に (作曲:宗次郎)

星を題材にした曲は他にもあるんですが、この曲は星そのものよりも、星空の下で人々が語り合っている様子が浮かんできます。

どこかの山奥の村の、ささやかなお祭りの風景に似合う曲だと思いますね。

イントロ部分はメロディを部分的にパッセージさせてて、星がまたたいてるようなカンジで、なかなかいいです。

バックの太鼓が、お祭りの雰囲気をよく出しています。私はお祭りって苦手なんですが、こういう村のささやかなお祭りならオッケーです。


月の下で (作曲:宗次郎)

どこかの丘に立って月を見つめて、心を集中させているみたいな印象かな。マイナーなメロディが輝く月を表現してるかのようです。

この場合の月は、どんな形でしょうかね? 三日月はメルヘンなカンジがして好きなんですけど。

でも満月の、ウサギが餅をついてるところも綺麗で捨て難い。存在感からいえば、この曲には満月が似合うかもしれません。


木道 作曲:宗次郎

いろんな木が今まで生きてきた歴史を語るような曲です。山に登るといろんな木があって面白いんですけど、時には木でできた小さな橋にも思いをはせます。

橋は人工のものだけど、木自体は生きてますからね。そのありがたみを表現してる曲とも思えます。

木が歩んできたとても長い歴史、そういった木々の中を歩いてると、聖なる空間に居るような感覚に包まれます。

そういった聖なる空間も表現した曲と考えてるんですけど、実際にそこを歩いてると、ゴミが捨てられてることも多くて興ざめすることもしばしば。誰だか知らないけど登山マナーは守りなさいっての。


大気 (作曲:宗次郎)

なんだかとても冷たい空気を表現してるみたいに思える曲です。高音が多くて、空を貫くようなイメージ。

冷たい空気をこれでもかというほどに感じたかったら、晴れた冬の空がいいでしょうね。

それでこの曲を聴いて、体の芯まで冷え込む。でもそれが大気を感じる貴重な一瞬なんですよね。


無垢 (作曲:宗次郎)

メロディラインはとても悲しいんですが、ワルツに乗って軽快に作られてます。汚れのない無垢な自然を表現した、といったところでしょうか。

私は、この曲は特に好きなんですよ。メロディラインに、じーんときます。

あるいは、何も邪念を持たない真っ白な心のことかもしれないですね。人間が足を踏み入れていない真っ白な雪と同じで。

ストリングスのバックも効果的で、心をカラッポにするにはいい曲です。


森に生きるものたち (作曲:宗次郎)

森の中には様々な生き物が居て、リスとか小鳥とかだと見てるだけで心が和みます。

私がよく出かける方面の山では、野生の鹿も時々歩いてます。

動物だけでなく、草や花など、森に生きるものたち全てを愛しく思って作られた曲だと思います。2番目の演奏ではオカリナをオクターブ高いものに持ち替えて吹いてます。

そのオクターブアップも、森に生きるいろんな生物を表わしてるんじゃないかな、と。


感謝の歌 (作曲:宗次郎)

空と大地の恵みを受けて、豊作になることへの感謝を表わしたカンジでしょうか。

こういう、見た目は殺風景な畑でも、とっても大事なことをしているんですよね。

1番と2番の間奏にバイオリンが入るんですが、その間に宗次郎はオクターブ高いオカリナに持ち替えているようで。

最後の高音のロングトーンは、感謝の気持ちを捧げることをよく表わしていると思います。


安堵の風景 (作曲:宗次郎)

ピアノのソロから始まって、滑り出すようにオカリナ演奏が始まります。1本のオカリナだけを使ったオクターブ奏法が印象的。安堵の風景っていうのは、人間の心の原点かもしれません。

まぁ、人によって安堵の風景は違うでしょうけど、私はやっぱり田舎の風景がいいな。

終盤では、かなりディストーションのきいたエレクトリック・ギターが入って一気に盛り上がります。それがまた不思議と、この曲に合ってます。

それで最後は、静かにピアノで終わる。たぶんこの展開は、安堵の風景を見た時の嬉しさの高まりを表現したんじゃないかと。


大地に生きる (作曲:宗次郎)

バックは殆ど入らず、ひたすらオカリナデュオが静かに静かに続きます。とつとつと語っているような印象。

地面に足を踏みしめて生きるみたいなカンジで、とても落ち着いた曲で、素朴そのものだわ。

地面を耕してる姿が浮かんでくるんですが、大地といっても平野だけでなく山でも同じことで。山で生活してる人には心に来るものがあるんじゃないかな、と。

なにか、農作業をしてる人と木こりが、山で一服しながら互いの仕事のことを話してるようにも思えます。


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